パッションフルーツを詳しく深堀り
  • 今回はパッションフルーツの魅力を薬剤師ライターのTAKASANAさんに執筆して頂きました。

果肉だけじゃない。研究者も注目するパッションフルーツの魅力

パッションフルーツというと、切った瞬間に広がるトロピカルな香りと、甘酸っぱいゼリー状の果肉が印象的な果物です。「爽やかな酸味と甘みのバランスの良い果物」という印象が強いかもしれません。

 

ところが論文を調べてみると、研究者たちが注目していたのは果肉だけではありませんでした。果皮といった、これまで捨てられることも多かった部分に、さまざまな成分が含まれていることが報告されていたのです。

果肉に含まれる栄養素

パッションフルーツには、ナイアシン、葉酸、β-カロテンなどのビタミン類、カリウムやマグネシウムといったミネラルが含まれています。

 

カリウムやマグネシウムは、体内のミネラルバランスを保つうえで欠かせない栄養素です。

 

複数の栄養素をバランスよく含んでおり、それらが果物で手軽に摂取できるというのは、パッションフルーツの魅力のひとつと言えます。

 

しかし、パッションフルーツの本当の面白さはここからです。

 

種子に含まれる注目成分「ピセアタンノール」

さらに、種子にはピセアタンノール(Piceatannol)というポリフェノールの一種が含まれています。近年、体の代謝や皮膚との関係について研究が進んでおり、種子由来の成分を用いたヒト試験も複数報告されています[2][3][4]。

もちろん、日常的に食べているパッションフルーツで全く同じ結果が得られるという意味ではありません。ただ、何気なく食べていた種が、実は研究者にとっても興味深い素材であると知ると、少し見方が変わってくるかもしれません。

研究者が注目しているのは、実は”果皮”

パッションフルーツの果皮は普段捨てられてしまう部分かと思います。

 

しかし、実はその果皮に、研究者の関心が集まっているのです。

 

2024年のシステマティックレビューでは、果皮にペクチン・フラボノイド・ポリフェノール・カロテノイドなどの成分が含まれることが報告されています[5]。

これらの成分は、いずれも食品・化粧品・医薬品分野で研究が進められています。

 

今まで捨てられてしまっていた果皮も、研究者から見ると、有用成分を含む素材として注目されているのです。

自然栽培だからこそ感じる価値

果皮にはポリフェノールやペクチン、種子には食物繊維とピセアタンノール。果肉だけでなく、普段捨てられる部分にも研究者が注目している果物——それがパッションフルーツです。だからこそ、生産者がどのような考え方で育てたのかにも自然と関心が向きます。

 

自然栽培だから栄養価が高くなる、と科学的に断言できるわけではありません。ただ、果皮や種子まで活用することを考えると、話は少し変わります。

 

果肉に関してはもちろん、果皮ごと、種ごと使うとなれば、どんな環境で育てられたかは自然と気になる。栽培期間中に化学農薬・化学肥料・除草剤を使用していない自然栽培だからこそ、手作りコスメ(化粧品)や食用として果皮まで安心して活用いただけます。自然栽培という選択は、果実全体を活かそうとする考え方とも重なるように感じます。

 

また、化学農薬・化学肥料・除草剤を使わない栽培は、土の中の微生物を豊かに保ち、周辺の生き物の多様性にも良い影響を与えることが、複数の研究で報告されています[6][7]。果実を余すことなく活かし、土づくりから向き合う——そうした生産者の姿勢も、自然栽培の魅力のひとつです。

薬剤師として感じたこと

論文を調べる前は、私自身もパッションフルーツを「香りの良い南国フルーツ」という程度の認識でした。

 

しかし調べてみると、

 

• 果肉にはカリウム・マグネシウム・葉酸・β-カロテンをはじめとした多様な栄養素

• 種子には食物繊維とピセアタンノール[1][2]

• 果皮にはペクチンやポリフェノール[5]

 

と、果実全体に研究者が目を向けている素材でした。

 

特に印象的だったのは、研究者たちが”捨てられていた果皮”に価値を見出していることです。

 

パッションフルーツは、単においしい果物というだけでなく、果皮や種子まで含めて可能性が探られている素材です。自然栽培という背景も含めて考えると、「果実を余すことなく活かす」という考え方がよく似合う果物だと感じました。

 

華やかな香りの奥に、研究者たちが注目する理由が隠れている――。

 

それが、論文を読んだあとに感じたパッションフルーツの本当の魅力です。

参考文献

1. Chau CF & Huang YL. Food Chemistry, 85(2): 189-194, 2004

2. 山本貴之ら. 薬理と治療 46(7), 1191-1199, 2018

3. 吉原瑞樹ら. 薬理と治療 51(8), 1187-93, 2023

4. Kitada M et al. Nutrients, 9(10): E1142, 2017

5. Weyya G et al. Frontiers in Nutrition, 11: 1340511, 2024

Passion fruit (Passiflora edulis Sims) by-products as a source of bioactive compounds for non-communicable disease prevention: extraction methods and mechanisms of action: a systematic review

6. Lori M et al. PLoS One, 12(7): e0180442, 2017

7. Tuck SL et al. Journal of Applied Ecology, 51(3): 746-755, 2014

薬剤師ライター TAKASANA